電動アシスト自転車に搭載されているセンサーについて

電動アシスト自転車にはアシスト力を調整するためのセンサーが2つ(または3つ)搭載されています。
それぞれのセンサーの役割について説明していきたいと思います。

速度センサー

すべての電動アシスト自転車に搭載されています。
電動アシスト自転車のアシスト力は速度によって細かく制限されいるため、スピードの測定が必ず必要です。

2008年に定められた新基準では、アシスト力が最大で人:モーター=1:2(33%:67%)と決められました。
これは、例えば坂を登るときに100の力で漕ぐとしたらそのうち67をモーターがサポートしてくれるという意味です。アバウトですが、モーター無しの時の約1/3の力でペダルを漕げばよいということになります。
しかし、このアシスト力ですが、速度ごとに割合が決められています。
速度が10km/h以下の時は1:2、15km/hで約1:1.3、17kgで約1:1、24km/hで1:0となります。つまり、時速24km以上はアシスト力が働きません。これは、高速で走行中もずっとアシスト力が同じだとスピードが出過ぎて危険だからです。

前置きが長くなりましたがこのアシスト力を決めるにあたってスピードを測定する必要があり、そのため電動アシスト自転車には必ずスピードセンサーが取り付けられています。

センサーの位置ですが、多くの機種では前輪に取り付けられています。軸に内蔵されているタイプもあれば、外側に見えているタイプもあります。外側に見えているタイプは一部の駐輪場のスタンドに乗せると破損する可能性があるので注意が必要です(破損した場合、アシスト機能が働きません)マンションの駐輪場やよく使用する駐輪場がスタンド式のあ場合、機種を選ぶ際に確認した方がいいでしょう。

トルクセンサー

トルクセンサーは今ペダルをどれくらいの力で漕いでいるか(踏み込んでいるか)を測定するセンサーです。トルクとは回転力のことですが、自転車の場合はベダルを漕ぐ(踏む)力と考えられるでしょう。
このトルクセンサーの測定結果を元にアシスト力が決められてモーターの出力が決められます。このため、トルクセンサーは電動アシスト自転車には必須のセンサーとなります。

トルクセンサーはペダルの軸付近に内蔵されています。ここでは詳しい説明は省略しますが、非接触式のトルクセンサーが採用されて、負荷をかけずにトルクを測定することができます。

クランク回転センサー

これはヤマハとブリヂストンの機種に採用されているセンサーです。スピードセンサー、トルクセンサーと合わせて「トリプルセンサー」といってアピールしています。

クランク回転センサーは必須のセンサーではなく、電動アシスト自転車の性能を向上させるために取り付けられた付加的なセンサーです。メーカー側はこのセンサーがあるとアシストがよりスムーズで自然になると説明しています。

クランク回転センサーはクランクの回転状況を見張っています。ペダルを漕ぐ際、ペダルに掛かる力は一定ではなく若干変化しています。左右のペダルの位置が水平に近くなったときは強くなり、上下の位置に来た時は弱くなります。これをトルクセンサーで測定すると、トルクは一定でなく、波状になります。これをそのままアシスト力に変換するとアシスト力にムラが発生することになります。極端に表現すると、ペダルを漕ぐたびにカクカクとアシストされることになります。これを抑えるため、回転センサーが働きます。トルクセンサーの値が上下していても、回転センサーが一定であれば、一定のアシストがかかるように制御します。つまり、ペダルを漕ぐたびにカクカク制御するのではなく、スーッと一定のちからでスムーズにアシストすることができます。

ではクランク回転センサーを搭載していない機種はすべてカクカクするかというと、全てがそうではありません。プログラムの制御によってムラを抑制する仕組みが内蔵されているタイプもあります。
クランク回転センサーはあくまで付加的なセンサーとなります。